介護を必要とする方の自宅を訪れて、家事援助や生活支援を行う「ホームヘルパー(訪問介護員)」。
要介護高齢者の支援に携わるホームヘルパー(以下 ヘルパー)は、少子高齢化が進む今の日本に必要な存在です。
今回は、そんなヘルパーとして働くために必要な資格の種類や取り方について解説します。
「ヘルパーになるために資格が必要なの?」「ヘルパーの資格にはどんな種類があるの?」と疑問をお持ちの方に役立つ内容です。
ヘルパー資格を取得するメリットも紹介しますので、「資格を取るかどうか迷っている」という方もぜひ最後までご覧ください。
CONTENTS
ヘルパーになるために資格は必要?

身体介護を行うヘルパーとして働くためには、「介護職員初任者研修」、「介護職員実務者研修」または「介護福祉士」のいずれかを取得していなければいけません。
ヘルパーとは、疾病や障がいなどにより介護が必要になった方の自宅へ訪問して支援する介護の専門職。サービスを提供する際は、基本的に1人で入浴介助や食事介助といった身体介助を行います。
利用者さんの身体介助を1人で行うために一定の知識や技術が求められるため、無資格者では訪問介護員として働けないわけです。
介護保険法において、訪問介護は「介護福祉士その他政令で定める者」が行うと定められています。そのためヘルパーとして働きたい方は、まず資格を取得しましょう。
ヘルパーになるために必要な資格の種類

身体介護を行うヘルパーになるために必要な資格は、「介護職員初任者研修」、「介護福祉士実務者研修」または「介護福祉士」のいずれかです。
各資格の特徴を確認しておきましょう。
介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)
介護職員初任者研修(以下 初任者研修)とは、2013年4月の介護保険法施行規則改定により新たに誕生した資格です。改正以前に存在した「ホームヘルパー2級」に相当する資格です。
「研修」という名称になっていますが「資格」と同じ意味に捉えて問題ありません。
初任者研修は、はじめて介護の仕事に携わる方でもわかりやすいように、介護の仕事に必要な知識を基礎内容から学べます。
初任者研修で学ぶテーマはこちらです。
- 職務の理解
- 介護における尊厳の保持・自立支援
- 介護の基本
- 介護・福祉サービスの理解と医療との連携
- 介護におけるコミュニケーション技術
- 老化の理解
- 認知症の理解
- 障害の理解
- こころとからだのしくみ
初任者研修は、講義だけでなく演習を組み合わせた構成となっており、介護の仕事がはじめての方でも無理なく学べるでしょう。
また、初任者研修には受講要件がありません。年齢、経験、学歴に関わりなく誰でも受講できるため、身体介護を行うヘルパーになるために最も取得しやすい資格といえるでしょう。
介護福祉士実務者研修
介護福祉士実務者研修(以下 実務者研修)とは、「幅広い利用者に基本的な介護サービスを提供できること」を目的として設けられた資格です。
初任者研修より研修テーマが多く研修時間も長く設定されているため、初任者研修の上位資格と捉えることもできます。
実務者研修を取得すると、ホームヘルパーとして働けるだけでなく、訪問介護事業所のサービス提供責任者(サ責)として働ける点が初任者研修との大きな違いです。
サービス提供責任者とは、訪問介護事業所において全体の業務を管理統括する重要なポジション。
ホームヘルパーからキャリアアップを考えている方なら、実務者研修の取得が必須となるでしょう。
また、国家資格である介護福祉士の受験において、実務者研修は欠かせない受験資格となります。
実務者研修で学ぶテーマは全部で20項目と多いため、ここでは主なテーマを紹介します。
- 人間の尊厳と自立
- 社会の理解
- 介護の基本
- コミュニケーション技術
- 生活支援技術
- 発達と老化の理解
- 認知症の理解
- 障害の理解
- こころとからだのしくみ
- 介護過程
介護福祉士
介護福祉士とは、介護に関して一定の知識や技能を習得していることを示す国家資格です。
介護福祉士は、初任者研修や実務者研修の上位資格と捉えられており、身体介助などの介護サービスだけでなく、利用者の生き方や生活全般を支援することも期待されています。
そのため介護福祉士を取得すると、介護施設全般で働けるようになるほか、訪問介護事業所におけるサービス提供責任者につくことも可能です。
介護福祉士になるためには、介護福祉士国家試験に合格しなくてはならず、国家試験の受験資格は以下のルートがあります。
- 実務経験ルート(実務経験3年+実務者研修※修了)
※介護職員基礎研修+喀痰吸引等研修でも可 - 養成施設ルート
- 福祉系高校ルート
- EPA(経済連携協定)ルート
すでに社会人経験のある方が介護福祉士取得を目指す場合は、「実務経験ルート」が現実的です。
介護福祉士国家試験の試験日程などについては、例年7月上旬頃に公益財団法人 社会福祉振興・試験センターや厚生労働省などから発表されますので、興味のある方は情報をチェックしておきましょう。
介護の経験がないなら初任者研修から取得するのがおすすめ

ヘルパーの資格となる「初任者研修」「実務者研修」「介護福祉士」は、資格取得を支援している介護スクールの講座から受講できます。
初任者研修と実務者研修は、無資格の方でも未経験の方でも受講できます。
ただし、「介護士として働いた経験のない方」「はじめて介護業界に足を踏み入れようとしている方」は初任者研修から受講するのがおすすめです。
なぜなら初任者研修と実務者研修は、学ぶテーマや研修時間に大きな違いがあるからです。
両者の違いを表で確認してみましょう。
初任者研修 | 実務者研修 | |
---|---|---|
研修テーマ | 9項目 | 20項目 |
研修時間 | 130時間 | 450時間 |
期間 | 約3週間強〜4ヶ月間 | 約4〜6ヶ月間 (4か月は初任者研修など資格保有者の場合) |
上記のように、実務者研修は研修テーマが多く、その分研修時間も長くなります。テーマが多い分、高度な内容も増えるため、初任者研修を受講せずに受けると、負担が大きくなってしまうかもしれません。
はじめて介護の仕事につく方は、まず介護職員初任者研修から受講しましょう。
なお、以下のページには初任者研修や実務者研修に関するよくある質問をまとめています。どちらを受講するか迷っている方も、本コラムとあわせてご覧ください。


ヘルパーの資格を取る3つのメリット

最後にヘルパーの資格を取るメリットを3つ解説します。
- 就職で有利になる
- 資格手当の対象になる
- ヘルパーに必要な基礎知識が身につく
取得するかどうか迷っている方はぜひ参考にしてください。
就職で有利になる
介護の資格を取得していると、求職の際に応募できる介護施設が増えます。
介護職員を募集する施設は、資格所持者を求めていることが少なくありません。そのため、資格を何も持っていない場合、有資格者より選べる介護施設の幅が狭くなってしまう可能性があります。
しかし、初任者研修や実務者研修といった資格を所持していれば、資格を重視している求人にも堂々と応募できるでしょう。仮に実務経験がなくても、「介護の仕事に本気で取り組んでいるな」と人事担当者の高評価につながることも期待できます。
資格手当の対象になる
初任者研修と実務者研修は、資格手当の対象になります。
具体的な金額は、勤め先の就業規則などにより変動しますが、初任者研修で毎月3,000円から5,000円ほどの資格手当を見込めるでしょう。
資格手当を設けず基本給に上乗せしている事業所も存在します。資格を所持しているだけで待遇が向上するのは大きなメリットです。
ヘルパーに必要な基礎知識が身につく
資格取得によって恩恵を受けるのは待遇面だけではありません。
講座を通して介護に関する基礎知識を身につけることで、目の前の利用者さんにより適切な介助を提供できるようになります。
利用者さんやそのご家族から感謝の言葉をいただければ、介護士としての自信にもつながるでしょう。現場で培った経験を生かしてより上位の資格に挑戦し、キャリアアップを目指すことも十分に可能です。
ヘルパー資格を取得して介護士として働こう

ヘルパーとして働くためには、介護の資格が欠かせません。
資格取得をサポートしている介護スクールの講座を受講することで、必要な資格を取得できます。
ポイントは、自分にあったスクールに通うこと。最短で取得できる初任者研修でも130時間の研修時間が必要なため、「スクールであればどこでもいいだろう」と考えていると、後悔する結果になるかもしれません。
大阪に5校ある介護スクール「京進の資格取得 これから介護士」は、初任者研修と実務者研修に特化した学校で、初心者の方の通いやすさにも力を入れています。
初心者の方が安心して学べるように経験豊富な講師陣が一人ひとりのフォローにも力を入れており、卒業生の初任者研修修了試験合格率100%の実績も。
資格取得後の就職・転職といった重要な場面もサポートして介護士として働く方の「これから」を応援しています。
ヘルパーに少しでも興味が出てきた方、これから資格を取得する方は、ぜひ「これから介護士」の初任者研修を受講してください。
ヘルパー資格を取得して、介護士としての一歩を踏み出しましょう。
